指数関数の微分ってどうなるんだっけ
数3で微分をしばらく学習していると、次の公式に出会う。
$$
( a^{x} )'= a^{x} \log a
$$
これだけなら特に混乱はないが、しばらくすると今度は積分の公式も出てくる。
$$
\int a^{x} dx = \frac{a^{x}}{\log a} + C
$$
この式も、積分が微分の逆操作とわかっていれば問題ない。微分して出てくるのは定数倍なので、その逆数をかけるということが積分になるのだ。
ところが、しばらくすると、次のことに悩まされる。「$\log a$が出てくるの、分母か分子かどっちだっけ。」$\log a$が出てくることは覚えているが、それが分母に現れるのか分子に現れるのか、2択の問題に頭を悩ませることになるのだ。
この記事では、そういったことに頭を悩ますことがなくなるような考え方を紹介する。$\log$ の定義や合成関数の微分法などを用いることになるが、これらはずっと有用なので損はない。
1. 底の違い = 指数の定数倍の違い
次の式変形を見てほしい。
$$ 9^{x} = (3^{2})^{x} = 3^{2x} $$
一つ目の等号は当たり前であり、二つ目は指数法則を用いたものだ。これだけではただの計算だが、次のような見方をすると話が変わってくる。
「底の9を3に変換した。そのときの辻褄合わせが指数の2倍になって現れた。」
実は、9から3といった累乗の関係がなくても、底はどんな数からどんな数へも移すことができる。ぼくらは微分がしたかったので、底を微分と相性のよい $e$にしたい。ではどうすればいいのか。$\log$ を用いれば良いのである。
2. $\log $による底の変換
実際に、底を$e$に変換するためにはどうすればいいのだろうか。それには次の公式を使えば良い。
$$ a = e^{\log a} $$
$\log a$とは「$e$の肩に乗せたらaになる数」のことだった。よって上の式は当たり前の式となっている。が、この式によって、上の目標である底の変換が可能になっているのだ。実際、
$$ a^{x} = (e^{\log a})^{x} = e^{x \log a} $$
とすれば、底を$a$から$e$に変えることができた。
3. 合成関数の微分法
ここまで来れば、合成関数の微分法を用いることによって$a^{x}$を微分することが可能になる。一応確認しておこう。合成関数の微分は $$ (f(g(x))' = f'(g(x)) \cdot g'(x) $$ 今回の場合は、$f(x) = e^{x}$ , $g(x) = x \log a$とすれば
$$ (e^{x \log a})' = e^{x \log a} \cdot \log a $$
とわかる。以上より $a^{x}$ の微分は $$ (a^{x})' = (e^{x \log a})' = e^{x \log a} \log a = a^{x} \log a $$